今も昔も、子供に読書をすすめるのは、学校の先生でも親御さんでも、当たり前のように思っているでしょう。本を読んでいる姿って、何となく賢そうで格好良くて「いかにも勉強してます」っぽい。
でも、50代も半ばを過ぎて思うのは、読書って完全に趣味だし、好きでやる以外に意味などあまりないなぁってこと。読書だけでなく勉強とか学問の類は、大体そういうもの。
その証拠に、入試のため、資格取得のための読書・勉強は、本当に苦痛で、全然身につかない。その逆に好きで読む本は、何度でも読みたいし、寝食を忘れるほど熱中もする。中学から高校ぐらいの時に読んだ、小松左京さんや平井和正さんの日本のSF小説など、残りページが減っていくのが惜しいぐらいでした。
その後出会った、司馬遼太郎さんや池波正太郎さんの歴史小説、立花隆さん、吉村昭さん、柳田邦男さんのノンフィクションなどなど。一人の作家を徹底的に読み倒すスタイルで、何千冊も読破。フィリピンにも蔵書を全冊持って来ていまいました。そんな父親の後ろ姿を見て育ったせいか、今年小6の息子は、ナショナル・ブックストア(フィリピン最大手の書籍チェーン)大好き。「ハリーポッター」を英語で、「精霊の守り人」を日本語で読んでます。
ネグロスまで持って来た蔵書の一部
私は昔から、好きな作家・ジャンルばかりで、古典と呼ばれるような小説は、ほとんど手付かず。さすがに新旧の聖書だけは目を通してますが、あとは夏目漱石の著作を数冊程度。たいへん偏った読み方です。でもまったく後悔はないし、不都合も感じたことはありません。本当に読みたければ、今からでも電子書籍で読めますし。
本をたくさん読んだからと言って、金銭的に得をしたこともない。工業デザイナーとしての仕事に、何か具体的に役立った覚えもないし。ただ、このブログを書くようになってから、この読書経験の効用を感じ始めました。
実際に、毎日文章を書いてみると分かりますが、このブログ程度でも毎日となると、相当量のインプットがないと続かない。フィリピンのネグロス暮らしにしても、そう連日、目新しいことが起こるわけでもない。そこは、日常のちょっとした出来事でも、想像力を駆使して、その背景を深読みすることが必要になります。
私の場合、何年も本を読むうちに、知らず知らずのうちに、その手の思考訓練をしていたらしい。もちろん紙に印刷されたものを読むだけではなく、今の若い人なら、ネットでの読み書きでも同じ効果。要するにできるだけたくさんの文章を読み、その内容を自分なりに咀嚼して、自分の言葉に直したものを書き出す。この一連の流れが大事。
以前にも少し書いた通り、インターネット全盛の今でも、あるいは今だからこそ、文章を書く能力は、何をするにしても強い味方。美文・名文を書けというのではなく、分かりやすく簡潔に、自分の考えを文章化する能力。
おそらくこれは、日本語だけの話ではなく、英語であろうとフィリピノ語であろうと、同じでしょう。ということで、日本でもフィリピンでも、若い人に言いたいのは、どんな本でもいいし、ネットの記事でもいい。とにかくたくさんの文章を読む。そしてただ読むだけでなく、SNSでもブログでも、まとまった量の文章を書く。
書くことは、すなわち考えることに他なりません。若い人だけでなく、中高年にもお勧めします。これほど頭脳を活性化させ、ボケ防止に効果があることって、他にあまりないと思いますよ。
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